私の趣味はレトロな鍵を集めること
隣のクラスで特に親しくもない同級生のうちに、初めて遊びに来ています。それは彼女が、いらない古い鍵を持っているというからです。そう、私の趣味はレトロな鍵を集めることで、トイレでそんな話をしていたら、通りかかった彼女がうちにもあるよと誘ってくれたのです。古い鍵も楽しみですが、彼女の家の大きさに驚きました。電車通学している私と違い、彼女は学校と同じ地域に住んでいるのですが、駅から学校とは反対方向に、徒歩でかなり歩きます。やっとたどり着いた彼女の家は、曲がり角と曲がり角の間が全て彼女の家の外壁という、とても大きな家に住んでいました。
大きいだけで、お金はそんなにないのよと、地主の家柄であることを謙遜していう彼女ですが、広さばかりではなく、家もうちとは比べ物にならないくらい立派でした。まず玄関の鍵からして趣が違います。きっとちょっとやそっとじゃ開錠できない、複雑な鍵なのではないかと思います。
玄関から家の中までお邪魔して、彼女の部屋まで歩く間に、彼女のおばあちゃんの部屋の前を通りました。彼女がただいまの挨拶をしたので、私もおじゃまする旨、彼女のおばあちゃんに挨拶をしました。すると友達は、いらない古い鍵は元々おばあちゃんからもらった鍵だと笑いました。そんな鍵を私がもらっていいのか戸惑いましたが、おばあちゃんにも許可を取っているということでした。
彼女の部屋に通されすぐに渡してもらった鍵は、真鍮製のまるでそのままアクセサリーにできそうな、レトロなデザインの素敵な鍵でした。嬉しくて声をあげてしまいましたが、こんな素敵な鍵だったら、やっぱりもらうわけにはいかないと思い、そう彼女に告げました。でも彼女は、確かに素敵だと思うのだけど、使えない物を持ち続けるのは主義じゃない。欲しい人がいるのなら、もらってもらった方が鍵も嬉しいと思う。そう言ってくれたので、ありがたくその鍵を頂きました。
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最終更新日:2017/03/13